技術のいる「障子」の張替え　芸術としての障子

「障子」から連想されるイメージは、どのようなものであろうか。ある年齢以上の人にとっては、「和室の部屋にあり、機能的な仕切り間」と映るであろう。また、若い世代には、「インテリアに用いられる和紙で作られた扉」かもしれない。全世代にとって「障子」とは、生活に密着した文化の1つである。
この「障子」の魅力を最大限に発揮させるには、当然ながらメインテナンスが必要となる。言い換えれば、障子紙の張替えをしなくてはならないのである。数年置きに張替えるのが通常だが、障子の置いてあった環境により、張替え時期が早まることもある。
では、どのように張替えればよいのか。これには、職人による手作業が必要となる。一見、素人でも張替えが可能なように見える。しかし、何段階もの手順を踏む上、枠組みの手入れも必要となる。そのため、専門の技術を必要とするのである。
プロは張替え作業の際、糊の調整や枠組みの乾燥など、素人では分かり得ない技で仕事を進める。丁寧に磨き上げられた骨組みと真新しい障子紙は、完璧に貼られている。見事な職人の技である。一朝一夕に出来るものではなく、長年の知恵と技術がもたらすのである。
張替えられた「障子」は、室内の空間を心地よいものにしてくれる。ここから差し込む光りは柔らかく、障子越しの光りが作り出す陰は、美しいものである。プロの手によって「障子」がよみがえり、間仕切りとしてだけでなく、芸術としても完成度が高いと言えよう。後世に伝えられるべき技術であろう。